都市の不燃化運動の限界と科学技術に基づく防火設計法の開発への取組み

摘要

建築学会が誕生した1886(明治19)年以降、この130年の歴史において、大惨事となった市街地火災や建物火災が後を絶たない。なかでも1923(大正12)年9月の関東大震災、1945(昭和20)年3月の東京大空襲では、四半世紀の間に二度も帝都東京を灰じんに帰す市街地火災が発生した。世界広しと言えど国の顔たる首都を繰り返して壊滅的な火災に晒した国はほかに見当たらない。決して順調とは言えないわが国の都市•建築の防火対策への歩みではあったが、以下、エポックメーキングとなった出来事をかいつまんで紹介する。