塔の家--54歳の家

摘要

1966年に建った「塔の家」は、50年以上にわたり東孝光（父）とその家族が暮らしてきた家である。コンクリート打放し、スチールサッシ、凹凸のある床が当初の塔の家だった。20代後半、社会に出た長女の私は塔の家から巣離れして、両親の二人暮らしになった。その後長くこの家に住み続けたいと、50歲の後半ぐらいから数年にわたり父は塔の家に手を入れ出した。まずは、北欧製の木製建具が気に入り、 前々から錆び付いて動かなくなってきていたスチールサッシをこの木製建具に暮らしながら順番に変えていった。父自身が元の割付をもとに見附、見込みの大きい木製建具にデザインをしなおしている。床は、順番にオークの薄いフローリング、水回りは大理石に変えていく。 二階の居間には床暖房を入れ、 数十年先まで両親が暮らしていけるための準備をしていった。