設計と研究

摘要

一時流をとらえた二つの特集はさまざまな観察、体験、提案に湓れ興味深い。9月号第1特集はァカデミスムと設計である。速水清孝先生が提示する「設計の研究はあるか？」という問いに象徴されるように設計とアカデミズムは馴染みがいいとは言えない。その理由のー端は日本の建築教育がエンジニアリングを基盤に進められてきた歴史とも関係する。海外の大学で意匠の博士論文の主査をした時にニつの国の審査基準の違いに驚いた。その国(スペイン)では建築はどちらかというと人文的知であった。かくいう私も建築と人文的知の交叉するところを見据えているので既成のアカデミズムには居場所が見つけにくい。しかい私たちが現在学会の建築論•建築意匠小委員会やそのWGで議論している内容を踏まえると、設計のためになる研究は幅広く存在していると言えるだろう。そうしたなかで設計の研究をさらに深く進めていくには二つの方向性がある。ひとつは質的研究の受け入れ幅を広げること。二つ目は水野大ニ郎先生が提示しているように仮説検証型研究のみではなく視点提示型研究の方法と審査基準を確立していくことであろうと考える。