自然光と風を取り入れる屋根のかたち

摘要

群馬県桐生市には、明治大正期の繊維工場として使われていた「ノコギリ屋根の工場」がいくつも残されている。これは、連続したハイサイドライトとも言うべき仕掛けである。直射日光ではなく天空光を北側から取り入れる合理的なかたちである。採光面は北側であることが重要で、直射光による明るさの時間変動を避け、日中は比較的安定した明るさを取り入れ、また直射光による熱負荷を避けることができるからである。また、連続的に採光装置を設けることで、広い室内全体に均一な明るさを確保する仕掛けでもある。当時、電力は貴重なエネルギーなのでその消費を少しでも減らす努力をした証とも言えよう。