被服の社会心理学的研究の更なる発展へ向けて

摘要

被服の社会·心理学的分野に対する関心が高まり，この領域に関する研究活動が活発に行われるようになったのは，1980年に入ってからのことである．人々が安心して暮らせる社会，豊かな経済力を持ち，個人の好みが認められ個性を尊重する 時代が被服の心理学を生み出す大きな基盤であった．とりわけ，被服の心理学は被服の大量消費社会の進行とともに登場したといえる．本学会誌における，この分野の研究の歴史は長く，本学会創立30周年記念特集号では，社会学分野として，1985年から1990年の間に行われた被服の心理的研究と社会·文化的研究が紹介されている．そして，本学会では1998年から2010年の12年間に，ほぼ毎年，学会誌の11月号を「被服の社会心理学的研究」の特集号として，企画·刊行してきた．そして，本号を含めると，全12号の特集号を刊行している．第1回「被服の社会心理学的研究」特集号は，当時の編集委員長であった故柵田庸先生（京都ノートルダム女子大学名誉教授）により企画された．