マリンポリサッカライドと私たちの生活

摘要

マリンポリサッカライドは，多糖のうち，特に海洋性資 源を原料とする多糖の総称である.代表的なものとして， 甲殻類（エビ，カニなど）の構造多糖であるキチン，海藻 類の構造多糖であるアルギン酸，カラギーナン，アガロー ス（寒天)，フコィダンや，微生物が産生する細胞外多糖 が挙げられる.海藻は，豊富に存在する海洋性資源であ り，FAOによると，2014年には2,700万トンの海藻が養 殖により生産されている".海藻は食用として主にアジア で消費される他，主にアルギン酸，カラギーナン，アガ ロースなどのマリンポリサッカライドの原料として利用さ れている.これらの多糖は，その物性を利用した物性改良 剤，安定剤，コーティング剤などとして私たちの生活の中 で利用されているが，近年，これらの多糖の生理活性が報 告されており，新しい応用の可能性が期待されている.こ こでは，海藻由来の多糖，特にアルギン酸とフコイダンの 研究例を紹介する.