エネルギー政策過程におけるステークホルダー分析：因果関係図を用いた比較分析

摘要

地球温暖化対策の観点から温室効果ガス排出削減の必要 性が指摘され，再生可能エネルギーの利用拡大などエネル ギ一システムの転換が重要な課題であると考えられている エネルギーシステムの転換にあたってステ一クホルダ一間 に様々な対立が存在する場合，それらを調整しつつ，公共 的諸問題を解決するための妥協解を見っけ出すことが政治 の役割であると言えるが，専門的な知見に基づいて構成さ れた複雑なエネルギーシステムに関して，政治がその役割 を担うことは容易ではない.そこで，専門家が利害対立状 況を考慮した上で合意を生み出しうる選択肢を提示するこ とが重要になる2).本研究は，エネルギー政策の設計にお いて，ステ一クホルダ一の利害構造を分析し，専門家がそ れを考慮した政策デザインが実行できるよう支援する手法 を提示することを目的とし，エネルギーシステムにおける ステークホルダ一利害対立構造を分析する手法を構築し， その有効性を検証する.