ガス小売全面自由化4年目の競争動向

摘要

メディアによるガス小売全面自由化に対する報道は,資源エネルギー庁が公表している7地方区分(①北海道,②東北,③関東,④中部・北陸,⑤近畿,⑥中国・四国,⑦九州・沖縄）におけるスイッチング申込件数,スイッチング率の累計値にて評価を行う場合が多い.本稿では新規参入事業者が登録制により申請しているガス小売供給エリアの整理を行うことにより,ガス小売全面自由化による事業者間競争が生じているエリアは,経済規模が大きく,また需要家件数の多い都市部であることを明示した.資源エネルギー庁は7地方区分にてスイッチング申込件数を公表しているが,スイッチングの申込が行われた地域全域で新規事業者が参入している訳ではない.中部・北陸地方を例に挙げると,東邦ガスエリアである3県(愛知・岐阜・三重）では新規事業者が参入しているが,残りの6県において参入はゼロであり,家庭用における需要家獲得競争が行われていないことに注意する必要がある.