金属のクリティカリティ評価をもとにした低炭素発電技術のリスク評価

摘要

我が国では，平成30年1月に第5次エネルギー基本計画'〉が閣議決定され，「3E+S」の原則のもと，安定的で負担が少なく，環境に適合したエネルギー需給構造を実現していく方針が立てられた.ここで，2030年の電源構成については，「長期エネルギー需給見通し2)」に記載されているように，これまでの基本的な方針を維持し，技術毎の施策強化によって確実な実現を目指すことが明記されている.ここで，エネルギーの供給安定性(Energy Security)は，様々な観点が考慮され議論が進められている.しかし，上記計画における，再生可能エネルギーに代表される低炭素発電技術のEnergy Securityについて，材料的な観点からは十分な議論が進hでいない.鉱物資源に乏しい日本においては，化石燃料資源の地政学的リスクと同様に，低炭素発電技術に利用されている希少金属をはじめとした様々な金属資源についても，その供給安定性を考慮する必要があると考えられる.