太陽の仰角に基づく照度推定を用いた幾何学モデルによる鎖錠かんの変位の予測手法

摘要

本稿では，転てつ機の鎖錠かん変位を予測するための従来の気温・照度による部材温度推定において，照度をアメダスの天気，および天気毎の照度の最大値を用いて部材温度を推定する方法を提案した．結果として，晴の日では従来法と殆ど変わらない推定精度を持つことが分かった．曇，雨の日において推定精度が落ちるものの，曇の日においては鎖錠かんの変位のピーク値を予測することは出来ている．転てつ機のロック値は，気温および照度の高くなる晴の日に最も変動するため保全上の問題は少ないと考えられる．本研究では，照度を直接測定せずに保全上問題ないほどの鎖錠かんの変位の予測が出来たものの，予め天気毎の照度の最大値と仰角面の最大値を必要とする．曇，雨の日の部材温度推定において照度の寄与が気温に比べて大幅に小さいことから，曇，雨の日は照度の値を用いず気温から部材温度を単回帰分析によって推定する検討も今後必要と考える．最終的には照度の値を使わずにアメダスのデータの中から照度を正確に推定出来る手法の開発が必要である．さらに，在来線用弾性分岐器や，障害の多い可動K字など，様々な種類の分岐器に対して研究を深度化する予定である．