小型旅客船のための簡易バリアフリートイレとその配置に関する調査研究

摘要

日本には居住者がいる島は400以上あり，小型旅客船が居住者や旅行者の重要な交通手段となっている．日本の典型的な小型旅客船は長さ約20m，旅客定員は50名ほどであり，図1に典型的な小型旅客船の例を示す．日本では，高齢者，障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律（バリアフリー法）が施行され，移動等円滑化のために必要な旅客施設又は車両等の構造及び設備に関する基準を定める省令が定められ，公共交通機関や建築物のバリアフリーが進められており，旅客船については，旅客船バリアフリーガイドラインが発行されている．このガイドラインでは，旅客船のトイレには船舶のサイズに関係なくバリアフリーが推奨されており，図 2に示すフルサイズのバリアフリートイレが示されている．フルサイズのバリアフリートイレには，車いす使用者がその中で回転するのに十分なスペースがあるが，このようなフルサイズのバリアフリートイレを小型旅客船に設置することは，旅客定員を減らすことにつながり，利便性や経営に影響を及ぼすという課題があった．