クロスカントリースキークラシカルレースにおける高精度GNSSを用いた走法解析

摘要

クロスカントリースキー競技はクラシカル走法(classical technique: CL)とフリー走法(free technique: F)があり,いずれの種目でも様々なテクニックが用いられる.クラシカル走法はスキー板の中央部付近にグリップワックスを塗ってコースカッターの中を走るのが基本であり,サブテクニックとしてダイアゴナル走法(diagonal stride:DS),1(ワン)キックダブルポール(1 kick double poling: KDP)(日本名で通称一歩滑走),ダブルポール走法(double poling: DP),ヘリンボーン(herringbone: HB)(日本名で通称開脚登行),クローチング(crouching: Cr)(ダウンヒル)がある.フリー種目はスケーティング走法のことであり,コースカッターはほぼ必要なく,フラットに整地したコースをスケーティング走法で走るもので,サブテクニックとして V1(日本名で通称クイックスケーティング),V2 alternate(日本名で通称ラピッドスケーティング:V2a),V2(日本名で通称スーパースケーティング)がある.いずれの種目でも,選手は斜面や滑走速度を考慮しながらその局面で最もスピードの速く,エネルギー効率の高い走法を選択する.その選択は個々の選手の体力や技術,そしてスキーの滑走性能によって異なる.クラシカル走法においては,スピードの速い順にクローチング,ダブルポール,1キックダブルポール,ダイアゴナル,ヘリンボーンとなる.スケーティング走法では V2, V2a, V1 の順である.より速い走法を選択できればタイムが短くなるからパフォーマンスが高いということになるが,それは上半身のパワーや筋持久力,そしてスキーの滑走性次第である.従って,よりパフォーマンスの高い選手はそうでない選手と比較してレース中に速度の速い技術をより多く使用していると考えられるが,この点については明らかになっていない.