スポーツ用人工皮革材料の力学特性を対象とした異方性超弾性モデルの開発

摘要

スポーツにおいて多くのプレーヤーは，ランニングシューズなど，そのスポーツに適したシューズを履き，野球のグローブやテニスラケットなどを手に持ってプレーする．これらの用具で人体に接する部分は，ウレタン等の高分子材料や皮革材料が使用されてきた。特に天然の皮革材料はその耐久性や加工のしやすさから広く用いられてきたが，近年では人工皮革や合成皮革などの人工材料への転換が進んでいる．人工皮革や合成皮革は原料や内部繊維を含めて設計されるので，剛性など力学特性の再現性が高い．そのため，今後の新たなスポーツ用具開発のためにはこれらの人工皮革材料の高性能化が求められる．しかし，皮革材料は内部に繊維を含むため力学特性に異方性が発現することや，繊維配向が分散していることから力学特性を評価，予測することが難しい．また，近年では，強化用の短繊維を熱可塑性エラストマーにブレンドした状態で射出する繊維強化プラスチックの実用化が図られている．これらの短繊維強化プラスチックも，繊維の方向が射出のプロセスによって影響を受けるため，繊維の配向角はばらつきを示し，力学特性は異方性を示す．