簡易橋梁点検チェックシートと橋マップを用いた地域橋梁におけるセルフメンテナンスモデルの構築と実践

摘要

我が国のインフラは高度経済成長期に集中して整備されたため，老朽化が深刻である．2012 年12 月に起きた笹子トンネル天井版落下事故を契機に，国土交通省は2014 年6 月に道路橋定期点検要領1 ） を発表し，5 年に1 回の近接目視点検に加え，「施設の機能を良好に保つため， 定期点検に加え， 日常的な施設の状態の把握や，事故や災害等による施設の形状の把握等を適宜実施するのが望ましい」と日常点検の重要性を示した． しかし， 都市部と地方の橋では置かれている環境や交通量の違いなどから， 画一的に維持管理することは効率的とは言い難い．2015 年度に，市町村で管理する橋梁に対し， 非実務者でも簡易な点検が可能な「簡易橋梁点検チェックシート」（ 以下， チェックシート， 図－ 1） を制作した．現在， チェックシートを用いた橋梁点検は地域住民， 高校生， インハウスエンジニアの3 者が軸となり行われている． 点検結果と橋梁の位置をウェブ上で確認できる「橋マップ」を作成・公開し，橋の清掃活動へつなげる，「橋のセルフメンテナンス」を目指した．