防災点検データを考慮した固有ベクトルによる道路ネットワークの脆弱性評価

摘要

災害時において，迅速な避難や救援物資の輸送など，道路が果たす役割は極めて大きく，各防災拠点などを結んでおくことが望ましい．この連結性を高く維持するために，道路の途絶によって連結性を大きく低下させる脆弱性の高い部分を評価し，何らかの対策を施すことが重要である．この評価には様々な方法が考えられるが，本稿では，固有値解析による固有ベクトルを利用し，途絶によって連結性を大きく低下させる脆弱性の高い部分を評価する手法を用いる．この手法の大きな利点は，膨大なリンクやノード数を含むネットワークにおいても，一度の固有値計算で脆弱性の評価を行える点である．この手法はネットワークの構造上の弱点を評価できることが示されているが，本稿では，この手法に，斜面の道路防災点検データを考慮した被災リスクを取り込んだ評価を石川県の道路ネットワークについて試みる．