交通騒音のアノイアンスに関する暴露一反応関係のばらつき: 社会調査データアーカイブ（SASDA)利用による検討

摘要

一般的に，交通騒音の代表的な暴露一反応関係は，複数の社会調査で得られた結果のメタ分析により，音源別の平均的な関係が構築される。しかしながら，その背景には個々の調査間での結果のばらつきが潜んでおり，騒音政策等への利用を念頭に置く場合など，そのばらつきについても把握·理解しておく必要がある。社会調查間での暴露一反応関係のばらつきには，様々な要因が介在しており，暴露側と反応側の双方の不確実さが原因となる。暴露側の要因としては，暴露量の算定誤差があげられ，音源データや伝搬過程で考慮すべき要因，そのパラメータ設定，予測モデルそのものの不確実性などが考えられる。反応側の要因は，非音響要因による影響などの「個人差」もさることながら，調査方法や評価尺度等の研究デザインの違いも影響すると考えられ，Janssen, et. al(2011)は評価尺度の違いによる影響が大きいことを指摘している。