ボイラ損傷事故例とその対応

摘要

航海中にボイラの事故が発生した場合，軽微な損傷且つ短時間での修理が可能である場合は，使用燃料油をHeavy Fuel OilからMarine Diesel Oilに変えて継続航行が可能となるが，大規模な水側の損傷となるとHeavy Fuel Oilの加熱が出来ず，保有量の少ないMarine Diesel Oilでは航行するに限界があり，多大な経済的損失を伴う場合もある.通常，主機の常用負荷運転中は排ガスェコノマイザーによる蒸気発生によりボイラを運転する必要はないため事故発生率は低いが，近年の減速運航推進により主機の低負荷運転中にボイラ運転の必要性が高まり，事故発生率が上昇する懸念がある.