液化ジメチルエーテルを用いる抽出•晶析手法

摘要

長年，超臨界二酸化炭素を抽出溶媒や晶析時の貧溶媒 として用いる様々な技術が開発されてきた.少量の水や アルコール類を添加して抽出量を増やす手法や，カロテノイドの貧溶媒晶析などが該当する.しかし，これらの 技術は超臨界二酸化炭素の物性に強く縛られる.超臨界 二酸化炭素を用いた抽出処理の場合，通常は前処理とし てサンプルを乾燥するが，これは超臨界二酸化炭素への 水の溶解度が低いことに起因する.近年，我々は液化ジメチルエーテル（DME)を用い る抽出や晶析手法について研究を進めている.DMEは 可燃性であるデメリットはあるものの，沸点が-24.8℃ と低く， 20℃では0.5IMPaで液化する.20℃の液化D MEには水が7.2wt%溶解する. DMEは中華人民共和 国では，LPGに混合して燃料として利用されており安 価に大量生産されている.また，温暖化係数が低いこ とからエアダスターやヘアスプレーの噴射ガスとしても普及しており，広く利用されている物質である.ジエ チルエーテルなどの一般に広く知られる所謂「エーテル」とは異なり酸化しにくく，また食品加工にも利用 が検討されており，低毒性で安定な物質である.