非一様磁界ばく露による体内誘導電界評価に関わる一考察

摘要

商用周波数を含む，概ね100 kHz 以下の低周波における磁界の人体防護の指標として，ICNIRP（国際非電離放射線防護委員会）などのガイドラインにおいては，磁界ばく露により電磁誘導の作用により体内に生じる誘導電界が指標として用いられている。これらのガイドラインでは，安全側の仮定が置かれ，磁界と人体とのカップリングが最大となる「一様磁界」へのばく露が想定され，体内誘導電界で表された限度値（基本制限）から，外部磁界の限度値（参考レベル）が導出されている。一方，現実に遭遇しうる高ばく露は，磁界発生源のごく近傍であることが多く，このとき磁界分布は非一様となり，人体とのカップリングの度合が一様磁界と比べ減少することになる。本研究では，このような非一様磁界ばく露に対するカップリングの減少の度合いを簡便に評価する手法について検討しており，本稿では，検討の一例を示す。