ツリガネムシの繊毛運動を用いたマイクロミキサの流れ場解析

摘要

本研究では微生物の一種であるツリガネムシ（Vorticella）の運動器官である繊毛を利用する． Vorticella の利点には，1)化学エネルギで動作し，外部駆動源が不要で，デバイス小型化が可能である，2)1 個体で1×10~4μm~2 以上の攪拌，3) 自発的な流路への接着が挙げられる．Vorticella は水中に生息する単細胞生物であり，釣鐘状の虫体，フィラメント状の柄で構成されている．図1 に示すように，虫体には繊毛が口周辺に密生している．繊毛を動かし，虫体周辺に流れ場を発生させて，微生物を捕食する．Vorticella が有する繊毛運動を用いた2 液混合のマイクロミキサを提唱する．このマイクロミキサ作製のために，Vorticella が微小流路内で発生する流れ場の大きさをPIV 法により時系列で評価し，ミキサとしての攪拌·安定性能を計測した．またチャンバ内での個体数を増減したときの流れ場への影響も調査した．