三叉神経麻痺の治療効果評価のための三次元カメラの開発

摘要

口腔外科分野において，抜歯，インプラント等の下顎臼歯部の手術の偶発症として，三叉神経損傷による知覚神経麻痺が挙げられる．このようなトラブルが発生した場合，治療による回復の程度を知る方法として，現在，２点識別法やＳ-Ｗテスターによる知覚テストが実施されている．これらの方法においては，色鉛筆を使って皮膚表面に神経障害領域をマッピングした後にデジタルカメラによる撮影が行なわれている．しかし，撮影方向·撮影部位等がテスト毎に異なるため，障害領域面積の経時変化が定量的に把握できないといった問題がある．そこで，われわれは，神経障害領域の定量的な測定を実現すべく三次元カメラを新たに開発することとした．本研究では，パターン光投影を応用することで，安価な装置構成で顎部の三次元計測を実現することを念頭において手法の検討を行なった．本稿では，計測の基本原理について説明し，顎部三次元形状の計測結果の一例を示す．