数値解析による噴霧乾燥プロセスの液滴群蒸発速度の推定

摘要

噴霧乾燥法とは，原料液を熱風中にして瞬間的に乾燥粉体を得る手法である。多くの工程を要する他の手法とは異なり，原料液から乾燥粉体を得るまでの工程を1プロセスで行うことができるため，製造プロセスの簡略化ゃコンタミネーションの防止が可能である。さらに，操作条件によつて中空構きポーラス構造といつた多様な構造の粒子が得られることも特徵である。しかし，乾燥粒子の物性に影響する因子は数多くあり，粒子生成のメカニズムも十分に角科斤されていない。そのため，所望の物性を有する乾燥粒子を得るためには，運転条件を試行錯誤的に決定しているのが現状である。これまで，数値流体力学(Computational fluid dynamics; CFD)を用いた噴霧乾燥プロセスの数值解析が進められており，装置内の温度分布や速度べクトル，液滴の飛跡に関する結果は報告されているが，液滴群中の個々の液滴の乾燥挙動に関する知見は少ない。そこで本研究では，CFDに分散相モデル（Discrete phase model;DPM)を組み込hだCFD-DPMカップリングモデルを用い,個々の液滴の蒸発速度に着目し，噴霧乾燥機内における液滴群の乾燥挙動を詳細に解析した。さらに，噴霧幹燥機の操作条件から液滴群の蒸発速度の推算を試みた。