壁面加熱による界面活性剤溶液流れの乱流抑制効果の改変（2）－PIVによる乱れ変動の検討

摘要

界面活性剤ミセル溶液に発生するトムズ効果はせh断や溶液温度に対する感受性が強いため，乱流抑制の効果を微小な入力により制御できる可能性がある．前報では壁面温度の変化による界面活性剤溶液流れの熱伝達率変化を，渦動粘性係数を吟味しながらミセル会合数の概念を基盤とするモデルにより説明した．このモデルは局所温度とせh断率，溶液濃度で決まるミセル会合数と局所の渦動粘性係数との関係を記述するものであるが，乱れ変動は力学的作用により空間的に広がりをもって存在しているので，温度の高い壁面近傍における渦動粘性係数の増大が流れの全体に波及することが想像され，その程度を見積もる実験的検討が必要である．そこで本報では，壁面熱流束を操作して温度分布が空間的に非一様な場を作り出し，熱伝達率変化に伴う乱れ変動の広域的挙動をPIVにより調査した．