実物体への重畳表示により浮遊像の知覚される奥行きを操作可能な奥行き貼り付き効果における視距離の影響

摘要

浮遊像を映しだす2D 表示装置の奥行き位置を移動させることなく，浮遊像の知覚される奥行きを変化させるため，浮遊像を実物体に重畳表示する方法を提案し，一定の視距離以上で奥行きを変化できることを明らかにした．実物体と被験者の視距離1.5 m では，実物体に重畳表示しても浮遊像の奥行き位置を変化させることはできなかった．これに対して，視距離2.0 m 以上では，実物体への重畳表示により浮遊像が実物体に貼り付いて知覚され，浮遊像の知覚される奥行きを0.1 m 程度の範囲で変化できることがわかった．また，視距離が長くなるにつれて，浮遊像の貼り付き範囲を大きくできることがわかった．