ナノ相分離とイオン液体ゲルによる強誘電性液晶の低電圧高速駆動

摘要

山本らは最近基板界面に液体層を持ち込hだ Slippery 界面によりアンカリングを非常に弱くし垂直配向強誘電性液晶(FLC)の応答改善（低電圧駆動）を報告している。過去の本講演会で我々は、基板界面に光重合ネマチック液晶を塗布し、FLC のC－ダイレクタのアンカリングに影響を与え低電圧駆動が生じることを報告し[2]、更に極性相互作用により電極部に自発的にイオン液体が吸着、これをゲル固定化することにより電極部を界面改質し、更なる低電圧駆動を達成した[3]。これにより同じ駆動電圧で透過率は増加したが、遅い時間応答成分の占める割合が多いという課題がある。垂直配向 FLC の電場応答はらせh構造をほどく協同運動による配向変化であり、構造を何らかの方法で切断し運動を局在化できれば高速応答に繋がる可能性がある。屈曲型液晶のB4 相とネマチック液晶の混合系では B4 相のナノフィラメント構造によりネマチック相とのナノ相分離構造の形成を確認しており[4]、FLC においてもこのナノ相分離構造を形成することで、らせh構造を分断化し、運動を局所的に閉じ込めて高速化できないかと考え、屈曲型液晶の混合効果を検討した。