局所脂質分子組成の制御によるナノリポソーム形成に関する分子動力学解析

摘要

脂質分子で構成される二重膜を殻とするカプセル（リポソーム）は，その内部に様々な分子を内包することができ，農業，化粧品，食料，そして医薬品開発分野において様々な応用が試みられている．近年，ナノサイズのリポソーム（ナノリポソーム）に薬剤分子を封入したナノリポソーム製剤を調製し，血管内皮に生じたナノサイズのギャップを通過させることで病的部位に効率的に薬剤分子を届ける手法が注目されている．しかし，ナノリポソーム直径は薬剤分子の大きさと同程度であり，また薬剤分子の空間的な揺らぎのため，ナノリポソーム内部への薬剤分子