シアノバクテリアのカルビン回路の反応速度論モデルの開発

摘要

持続可能な物質·エネルギー生産システムの構築の ための1つのアプローチとしてシアノバクテリアを用い た物質生産が注目されている．シアノバクテリアはエ ネルギー源として光を,炭素源としてCO2を使用して 有用物質を生産することが可能である．しかしシアノ バクテリアは代謝状態や制御機構に関する知見が少な く,現状として生産性や生産収率の面で大きな改善の 余地を残している．特に,カルビン回路による炭素固 定の効率化が求められるが,その速度論的な知見は十 分ではなく,物質生産性の向上にはカルビン回路の代 謝制御機構の理解が必要不可欠となる．そこで,カル ビン回路の反応速度論モデルを開発し,その制御機構 を解明することを目指す．例えば,CP12はカルビン回 路内の酵素であるGAPDH,PRKと複合体を形成してそ れらの酵素活性を制御する小タンパク質として知られ ている[1)]．本研究では,CP12によるカルビン回路の制 御を解明することを目標に,モデルの開発と粗酵素液 を用いたin vitroカルビン回路反応の条件を検討した．