建設後28年が経過したアラミドFRP緊張材プレテンション桁の曲げ性状

摘要

1980年代に鉄筋やPC鋼材の腐食によるコンクリート構造物の劣化対策の一つとして，連続繊維補強材の研究が盛hに行われた。連続繊維補強材は，高張力の炭素繊維やアラミド繊維などの連続繊維をエポキシ樹脂などの繊維結合材で固着し，棒状や格子状に成形したものである。連続繊維補強材は，水分や酸泉塩化物イオンなどにより腐食しないことから，コンクリート構造物に用いることで耐久性に優れた構造物となることが考えられる。著者らは，連続繊維補強材を用いる高張力の繊維としてアラミド繊維に着目し，直径6mmに成形したアラミドFRPロッド（写真－1）を開発したのち，1990年にアラミドFRPロッドを緊張材（以下，アラミドFRP緊張材）に用いたプレテンシヨン合成桁椿およびポストテンション箱桁橋を世界で初めて建設した（写真－2）。本橋は，コンクリート二次製品工場内のため池上に架橋されており，大型トレーラーの搬入出用として現在も供用されている。架橋位置の年間の気温は－10～38°Cであり，冬季には氷点下に下がるが，凍結防止材を散布することはまれである。また，架橋位置は内陸部に位置しており，海からの飛来塩分の影響は受けない環境下である。