SOFC空気極内部の過電圧分布を考慮したクロム被毒モデルの構築および擬3次元スタック解析への適用

摘要

固体酸化物形燃料電池（Solid Oxide Fuel Cell: SOFC）は，高効率なエネルギー変換システムとして注目されており，2011年からは家庭用発電システムとして実用化が始まっている．しかし，SOFCシステムの本格的な普及のためには，さらなる高性能化と高耐久化が必要とされている．SOFC の長期耐久性を考える上で，供給ガスなどに含まれる不純物による電極の被毒現象を理解することは重要である．燃料極側では炭化水素燃料に含まれる硫黄やリン，空気極側では空気中に含まれる硫黄や，スタック構成部材から発生するクロムが代表的な被毒種として認識されている．これまで様々な被毒種の電極への影響は，主に実験によって明らかにされてきた．そこでは被毒の駆動力の特定や，温度や電流といった発電状態が被毒速度におよぼす影響について検討されてきた.