B-18　開発途上国での持続的な運用を目指した膜ろ過前処理としての原水貯留の検討

摘要

膜ろ過プロセスはその処理水質の安定性、運転の簡便性、高濁度原水への対応性などの利点から開発途上国での安全な水供給への適用が期待されているが、複雑な処理システムは、技術的、経済的な課題を抱える開発途上国には適していない。本研究では、開発途上国においても持続的に運用可能な膜ろ過前処理として原水の貯留処理の効果を検証した。原水の貯留により濁度、溶存態マンガン及び溶存態有機物が低減され、膜ファウリングの低減効果が示された。使用後の膜から溶出された鉄やアルミニウムが減したことから、貯留により粒子状の無機物の沈殿除去が示唆された。同様に有機物については、特にタンパク質様およびフミン酸様の有機物の低減が見られた。一方で膜に蓄積したマンガンは貯留過程で酸化が進hだことにより増加する結果となった。一部の有機物が無機粒子の沈殿、マンガンの酸化に伴い除去されることが示唆された。