湖沼環境モニタリングシステムにおけるBODセンサおよび電源としての微生物燃料電池（MFC）応用の検討

摘要

最近はセンサネットワーク技術の普及により、多くのセンサノードを環境中に設置し、常時観測を自動で行うアプローチが発展しつつある。このような用途に用いるセンサは、低コスト、低消費電力かつメンテナンスフリーであることが要求される。CODの測定を行うには過マンガン酸カリウムなどの酸化剤が必要であり、運転に人が介在できないセンサノードでの継続運用は困難である。BODについては使い捨ての薬品を用いずに測定することは可能であるが、長時間の測定時間が必要となる上に温度も保持し続けなければならないなめ、これもセンサノードに搭載するのは難しい。しかし、MFCは水中の有機物濃度に応じて出力が変化することが知られており、この特性を用いれば、正確なBODを求めることは不可能でも、目安程度の精度でリアルタイムにBODを測定することができる可能性がある。本研究は、測定精度を妥協する代わりに、コストや測定時間が圧縮された、センサノードへの搭載に最適化したMFC を開発し、簡易的にBODを連続測定するシステムの実現を目指している。また、MFCの発電量が十分に大きい場合、他のエナジーハーべスティング方法と比較して出力が安定した電源となる可能性を持っている。その場合、センサノード電源としての利用も検討し、太陽光電池や大容量バッテリーを削減することでセンサノードの価格低減に取り組む。