流体可変平面キャパシタにおける静電容量可変率の評価

摘要

近年、携帯端末の高機能·多機能化により使用周波数の高周波·広帯域化が急速に進hでいる。これと同時に、携帯端末内部のフィルタ回路が増大するという問題が深刻になってきた。インダクタとキャパシタからなるLCフィルタは構成が容易であり、キャパシタの静電容量を変化させることにより高周波·広帯域に対応することが可能であるが、既存のキャパシタ静電容量可変率が小さいために十分に広い帯域をカバーすることができないという問題があった。我々のグループは、静電気力で駆動することが可能なEWOD（Electrowetting on dielectric）技術を利用して、純水（ε_r＝80）をキャパシタの平板間に移動させると80倍の大静電容量可変率をもつ流体MEMSキャパシタが実現できることを提案し、1-5GHz帯の帯域除去フィルタ（Band Elimination Filter）で5倍の中心周波数可変ができることを実証した。しかし、純水を10μmの狭い流路内で搬送するには120V以上の大きな駆動電圧を必要とした。我々は駆動電圧の低減を図ることを目的に、基板平面内に形成された櫛歯構造からなる周波数可変を可能にする平面可変キャパシタの提案を行った。しかし、流体可変平面キャパシタの評価を行った結果、静電容量可変率が著しく抑制されるという課題があることが明らかになった。