層構造を有するW系複合酸化物の水熱合成およびその固体酸性質

摘要

酸触媒は化成品製造，石油精製において不可欠であり，既存の硫酸を中心とした液体酸に代わる環境に優しい固体酸触媒の開発が求められている．高活性な固体酸触媒を開発するためには，結晶構造と構成元素の働きによる酸点発現メカニズムを明らかにすることが不可欠である．我々はこれまでに，4，5，6族遷移金属複合酸化物の水熱合成を報告し，Mo-V-Oと類似構造を有するW系複合酸化物が，既存の六方晶および単斜晶構造複合酸化物よりも表面積，酸量，酸強度が大幅に増し，高い固体酸性質を有することを報告してきた．本報告では添加元素に着目したW系複合酸化物の水熱合成および構成元素が固体酸性質に与える影響について検討した．