Tetraphenylethylene(TPE)骨格をもつ大環状芳香族炭化水素化合物の合成および立体化学

摘要

機能性材料の創製において、三次元空間を有する様々な環状およびケージ型化合物が合成されている。環構造およびケージ構造は、シスオレフィンなどcis 型構造を骨格に組み込むことにより容易に合成することができる。我々はこれまでに、アセチル基を2 ヵ所にもつ芳香族化合物（4,4'-diacetylbiphenyl）に対してTiCl4/Zn を用いたMcMurry 反応 を行うと、炭化水素骨格のみからなる環状三量体が11%の収率で得られることを報告している。本研究では、2 つのアセチル基を持つTPE（tetraphenylethylene）誘導体に対して、McMurry 反応を行うことにより得られる生成物の構造決定を目的とした。TPE 骨格は、エチレンに結合した4 つのフェニル基のねじれに由来する分子キラリティーを持つ。