津波による攪乱を受けた干潟の回復過程における堆積物の起源推定

摘要

宮城県東松島市宮戸島の波津々浦湾では、東北地方太平洋沖地震に伴う津波により干潟が浸食等の 大きな被害を受けた。干潟の浸食は年々回復傾向にあるが、震災前に比べて震災後の干潟底質中のシ ルト分が増加しているなど、底質環境が震災前と同程度まで回復しているわけではなく、生物相への 影響として、シルト増加に伴うアサリ稚貝の減少が報告されている。これまで干潟底質中の金属組成 に基づく統計解析から、干潟底質中のシルト増加の原因が北東及び北西の防潮堤工事現場(E.1、E.3)、 原位置底質、南西の防潮堤工事現場(E.4)からの負荷であることが明らかになった。