pH滴定法に基づくオレイン酸/モノオレイン分子集合体の 相挙動ならびに膜特性制御

摘要

単鎖両親媒性分子であるオレイン酸(OA)およびモノ オレイン(MO)は，水中で秩序的な自己集合体を形成す ることが知られている．OAはcis型で折れ曲がった炭 素鎖(Oleoyl基)を有し， pH条件に応じてその集合状態 を変化させる 1) ．MO は三次元的なネットワーク構造 (例: cubic相)を形成することが知られており2） ，増粘剤 として用いられる． Cubic相の形成に伴って溶液粘性の 増加がみられる場合があるが，一方で， 分子·膜に基づ く集合体の物理化学的性質に関する報告は少なく，膜 特性を評価するための方法論を確立する必要がある． 本研究では，OA ならびに MO を用いて，希薄条件 下(100 mM)における OA/MO の自己集合挙動について 評価した(Fig. 1)．過去に報告されている相挙動の異な る集合体3,4) を比較対象として，それぞれの集合体の膜 界面特性についてラマン分光解析ならびに Laurdan 蛍 光解析により評価した．