スケジュールのバッファとフロートのベクトル空間表現に基づく一元管理について

摘要

Activity所要期間を確定的に見積もる従来のPERT/CPM手 法では，フロートは管理される必要がない余裕日数であっ た．しかし，作業遅延が不規則に発生する現実のプロジェ クトでは，クリティカルパスの移り変わりが生じることが 多い。したがって，スケジュール計算の結果として生じる 余裕(フロート)も，意図して追加した余裕(バッファ)と同様， 管理すべき対象と考えられる．ある時点においてプロジェ クト全体期間に影響しないNon-criticalなActivityの余裕であ っても，フロート日数を消費してしまうと， それがcriticalな Activityに変わった途端にプロジェクトの早期完了の可能性 を下げてしまうためである．本報では，バッファとフロー トをプロジェクト全体の同質の余裕として一元管理する方 法を提案する．また， 先の発表1) で提案したプロジェクト全 体の遅延リスクへの耐性を評価する指標の妥当性を実験的 に確認した結果を示す．