水道におけるカビ臭物質の吸着に与える活性炭構造の影響

摘要

最近の水道における異臭味障害は，対象人口として は平成2年の21,625千人をピークとして減少傾向にある ものの，発生事業体数としては平成27年度で114であ り，依然として高い水準で推移している1) 。その内訳 ではカビ臭，土臭が多く（平成27年度は46%1) ） ，水道 事業ではその対策に苦慮している。カビ臭原因物質と しては水道水質基準項目にも設定されているジェオス ミン（Geosmin）及び2-メチルイソボルネオール（2- MIB）が挙げられ，その除去には活性炭が用いられて いる。特に突発的な濃度上昇に対しては粉末活性炭が 用いられるが，浄水プロセスにおいては接触時間の制 約等があり，より高効率で吸着を行える活性炭の開発 が求められている。もとより，水道の生物障害におい て粉末活性炭の使用がシステム運用上大きな負荷と なっている2) 。そこで本研究では，効率的な吸着剤開 発のための基礎データ収集を目的として，活性炭の種 類の違いがジェオスミン及び2-MIB の吸着に与える影 響を考察した。