ケミカルループ燃焼法におけるイルメナイト系酸素キャリア の反応速度と耐久性の向上

摘要

ケミカルループ燃焼法(CLC)は二酸化炭素回収貯留 (CSS)技術の一つとして注目されている。CLC では、 酸素キャリアである金属酸化物粒子が酸化塔と還元塔 の 2 つの反応器を循環し、金属酸化物の還元反応に伴 い燃料を燃焼させる。これにより熱回収と選択的ガス 生成が可能となる。燃料には天然ガスや石炭等が用い られる。酸素キャリアとして、安価で資源の豊富な天 然鉱物の中でもイルメナイト(FeTiO3)の利用が検討さ れている[1] 。イルメナイトは高活性化と粒子構造変化 の抑制による長寿命化が課題である。本研究室の先行 研究として、酸化物イオン(O2- ) - 電子混合伝導体であ る CaTi1-xFexO3-δ (CTFO)を担持した酸素キャリア粒 子にて反応促進を報告しており[2] 、イルメナイト表面 を CTFO で覆うことによる構造変化抑制を報告して いる[3] 。一方、粒子内部へのCTFO相形成を含む粒子 全体の複合化は、イルメナイト粒子開発においては行 われていない。以上を踏まえて、本研究では Ca 添加 によって混合伝導体である CTFO をイルメナイト内 部に形成させ、反応速度解析や粒子構造評価を行う。 また、イルメナイト粒子の改質前後について加湿CH4 による還元反応における反応生成ガスの CO2 選択性 についても評価する。