TSKgel~R FcR-IIIA-NPR を用いた抗体培養生産時における 抗体糖鎖構造の簡易モニタリング

摘要

近年、抗体医薬品の開発が大きく進展しており、医 薬品売り上げトップ10の半分を占めるに至っている。 また、その市場は、年率8％もの高成長率にて全世界 で9兆円（2020年）にも達すると予想されている 1) 。 多くの抗体医薬品は CHO 細胞などの動物細胞で培 養生産されることから、動物細胞特有の様々な糖鎖構 造の修飾を受け、糖鎖構造の混合物として生産される。 近年、抗体医薬品の糖鎖構造が、その薬効に大きく寄 与することが明らかとなり、糖鎖構造を制御したより 高機能な（例えば ADCC 活性の高い）抗体医薬品の 開発が進められている。特に、抗体の Fc 領域に結合 する N 型糖鎖は多様性に富み、その糖鎖構造の違いに より免疫細胞上のFc受容体との結合性が変化し、医薬品 の薬効に影響することが数多く報告されている。次世代の 高機能抗体医薬品の開発に、各種 Fc 受容体との結合 力の評価が利用されており、Fc 受容体（特に Fcγ Receptor IIIa、以下FcR）との結合力、親和性を簡便 に評価することが求められていた。