筋芽細胞と繊維芽細胞との共培養による 人工骨格筋組織の作製

摘要

生体内の組織もしくは器官の中には、自己再生能を 持ったものが存在するが、そのほとhどは過度の損傷 や疾病にさらされると再生する能力を失ってしまう。 近年、その治療法の一つとして再生医療が注目されて いる。再生医療は患者から採取した細胞を生体外で培 養し、機能的な細胞あるいは組織に改変した後に再び 患者に移植する治療法であり、これを実現するために ティッシュエンジニアリングが提唱されている。 ティッシュエンジニアリングは細胞、細胞外マトリク ス（Extracellular Matrix, ECM） 、増殖因子の３つの柱か ら構成されている。細胞外マトリクスは、細胞と細胞 の間に存在する超分子複合体であり、空間を充填して 組織に物理的な強度を持たせるだけでなく、細胞の増 殖や分化を制御する多様な内分泌性因子の貯蔵場所と して機能している。我々の研究室では、Magnetic force-based tissue engineering （Mag-TE）法による人工 筋組織の作製を行ってきた (1)。しかし、in vitro で生 体と同等の筋繊維を誘導できていない。この理由の一 つに培養過程における ECM の不足や劣化が挙げられ る。本研究では、筋組織に連続的に ECM を供給し、 成熟した筋繊維を誘導することを目的として、筋芽細 胞と繊維芽細胞の共培養を行った。