抗原ペプチドの油状ナノ分散化技術を利用した メラノーマ予防に有効な経皮がhワクチンの開発

摘要

近年、がh細胞の目印 (がh抗原) を投与することで がhを予防するがhワクチンの研究が進められている。 本研究では、がhワクチンの投与法として経皮投与法に 着目した。この方法は簡便かつ皮膚中の豊富な免疫細胞 を利用できる点で有効だと考えられる。しかしながら、 皮膚最外層の角層の働きにより、親水性かつ高分子量の 抗原を皮膚浸透させるのは非常に困難である。そこで、 親水性物質を疎水性界面活性剤でコーティングし、油中 への分散を可能にするSolid-in-Oil (S/O) 化技術に着 目した (図 1)1) 。この技術を用いることで、抗原の皮膚 浸透性が高まり、抗腫瘍免疫誘導が可能となると考えた。 本実験では、B16 メラノーマの抗原ペプチドである TRP-2 配列に親水性アミノ酸を導入した K-TRP-2 を抗原 として用いた。界面活性剤にショ糖ラウリン酸エステル (L-195) 、油状基剤にミリスチン酸イソプロピル (IPM) を用いてK-TRP-2 をS/O化し、これを経皮投与すること で B16 メラノーマに対する抗腫瘍免疫を誘起できるかど うかの検討を行った。