三次元DFT 領域における動画像の疎性： 理論解析と統計的評価

摘要

筆者らは，先に，三次元平均値分離型短時間DFT (3-DMean-Separation-type Short-Time DFT: 3-D MS~2T-DFT) を動画像雑音除去に適用し，CVBM3D,や VBM4D等の世界最高水準の動画像雑音除去手法よりも優れた雑音除去性能を示すことを実験的に明らかにしている．筆者らは，三次元DFT が動画像処理や動画像解析の強力なツールであることに着目し，ここ数年，自然動画像の三次元DFT 係数の統計的モデリングについての研究に取り組み，“信号の疎性と劣化モデルを明示的に含み，画像復元への応用に有用な形式”で統計的モデリング行う手法， すなわち二成分混合型球対称ガウス分布 (2-Component Spherically-Symmetric Gaussian Mixture Distribution:2-C S2GM) のモデルパラメータ推定を通した統計的モデリング法を考案している．本研究では，動画像の三次元DFT 係数の疎性を理論的に解析するとともに，筆者らの2-C S2GM 分布モデルに基づく統計的モデリング手法を用いて実動画像の三次元DFT 係数が有する疎性を定量的に評価し，動画像信号の三次元DFT 領域における“疎性”を，理論と実験の両面から明らかにする．