複数ノード協調型下水管内映像収集プロトコルの信頼性向上手法

摘要

わが国では，下水管の検査および整備が急務である．筆者 らは，低コストかつ作業量の少ない下水管簡易検査を可能と する下水管路検査用浮流型無線ネットワークカメラシステム を提案している[1] （図1）．カメラ付き浮流ノードを管内へ 複数投入し，浮流ノードが撮影した映像データを，無線通信を 用いてマンホール下に設置したアクセスポイント（AP）を通 じてネットワーク上のデータ集約サーバへ送信する．作業者 はこの映像を確認し検査を行う．直径200mm 程度の狭い管内 では無線LAN での最大通信可能距離が限られる（5GHz 帯の IEEE802.11n で約8m，2.4GHz 帯では約3m）ため，AP 間 の距離が長い場合，その間に撮影された全映像データを伝送 することは困難である．そこで田中らは，複数ノードの協調 動作によって映像伝送を行うプロトコルを設計した[2]．しか しこのプロトコルでは，複数浮流ノードがAP と同時に通信 可能であっても，映像伝送ノード切り替わり時に映像伝送が できない時間（ギャップ）が発生した．そこで筆者らは，後続 ノードが優先的に通信を行い，映像伝送ノード切り替わり時 のギャップを短縮するプロトコルを設計した．本稿ではその設 計と実装，模型列車を用いた映像回収実験について述べる．