スパッタリング援用MOCVD法によるTm,Yb共添加ZnOナノワイヤ構造の作製と発光特性

摘要

Tm~(3+)とYb~(3+)を共添加した蛍光体はTm~(3+)イオンの4f殻内励起を介した、波長 980 nmに遷移を持つYb~(3+)イオンへのダウンコンバージョン(Down Conversion: DC)機能を有するため、Si太陽電池のエネルギー変換効率向上のための波長変換材料として注目されて いる。紫外域に高い光吸収率を広い帯域で有するZnOを希土類イオンの添加母体として 用いることで、希土類イオンの励起がZnO母体からのエネルギー輸送により効率良く生じ ることから、波長変換効率の向上が期待される。我々は、Tm及びYb共添加ZnO (ZnO:Tm,Yb)を作製し、その発光特性について評価してきたが、Tm~(3+)イオンからYb~(3+)ィ オンへのDCに必要とされるTm~(3+)イオンの~1G_4→~3H_6遷移に起因する波長490 nm付近の発光 の実現が困難であった。今回、ZnO:Tm,Ybを成膜する母体をZnOナノワイヤ構造とするこ とで、Tm~(3+)イオンの~1G_4→~3H_6遷移に起因する発光が観測されたので、その結果を報告する。