周期的ナノパターン表面を有するポリマー基板上への酸化物半導体薄膜の作製と電気特性評価

摘要

軽量で加工性も高いポリマー材料は，エレクトロニクスをはじめ広い応用分野で注目されている。ポリマー材料を基板として，導電性など様々な特性をもつ無機結晶薄膜と組み合わせることで，新たな機能を持ったフレキシブルデバイスへの応用が期待できる。酸化物半導体薄膜などの無機結晶薄膜は核形成や成長方位を制御することで移動度などの特性向上が期待でき，そのためには基板となるポリマー表面の形状も重要となる。我々はこれまでに，サファイアをモールドとした熱ナノインプリント法によるポリマー表面への周期的原子スケールステップ配列(高さ約 0.3 nm)転写形成や，自己組織化酸化物ナノ構造体をモールドとしたポリマー表面への微細構造の転写形成について報告してきた。一方で，周期的ナノパターンを形成したフレキシブル基板上に堆積させた酸化物半導体薄膜に関する報告は少なく，基板形状の影響評価を行うことは次世代フレキシブルデバイス応用に関する知見が得られる。本研究では，ナノ構造を有するポリマー基板の薄膜成長基板としての応用を目的として，ナノパターン表面を有するポリマー基板上の酸化物半導体薄膜における基板表面形状が電気特性に与える影響について検討した。