ばねによる歯根膜のモデル化と初期動揺予測

摘要

歯の荷重を加えると，歯と歯槽骨を繋ぐ歯根膜が変形し，歯の姿勢が変化する．この姿勢変化は初期動揺と呼ばれる．初期動揺により歯根膜と歯槽骨の境界部分において，圧縮荷重が作用する場合は骨吸収，引張荷重が作用する場合は骨形成が発生する．その結果，歯が移動し歯根膜は無荷重状態となる．この機構を利用して歯を目的の位置へ移動するのが歯科矯正治療である．そのため、歯を最適な方法で移動するために，歯の初期動揺を正確に予測することが望まれている．そこで，初期同様を予測するために有限要素法などの数値解析手法を用いた研究が報告されている．本研究では，個々の治療ケースで初期動揺を簡便かつ精度良く予測する手法を開発することを目的とする．まず，歯根膜の力学挙動をばねでモデル化する．次に，モデル化の有効性を検証する．