三次元弾塑性解析による横ずれ断層線の逸脱量がRiedelせh断の発生角度に与える影響に関する検討

摘要

横ずれ断層が変位すると，その上に堆積した表層地盤の地表面には「Riedelせh断」と呼ばれる特有の断層変位地形が出現することが知られている．これは，横ずれ断層に沿って斜めに連なる亀裂群のことを指し，右横ずれ断層であれば，図-1のような「彡旁型」に，左横ずれ断層であれば逆に「ミの字型」に配列する．そして，このような地形の形成過程には，横ずれ断層線の凹凸，すなわちjogと呼ばれる「断層線のすべり線からの逸脱」の影響が無視できないとされる．例えば，図-2に示す左横ずれ断層は，図の奥側と手前側に2箇所の屈曲(bend jog)を含hでいる．奥側のjogは断層変位の累積に伴い引かれて落ち込むことからreleasing bendまたはpull-apart jogと呼ばれるが，横ずれ変位による純せh断にjogの効果としての引張が競合する変形場であることからtranstension zoneとも呼ばれる．一方，手前側のjogは押されて盛り上がることからrestraining bendまたはpush-up jogと呼ばれるが，こちらは純せh断にjogの効果としての圧縮が競合する変形場となるためtranspression zoneとも呼ばれる．