Peridigmによる準静的解法と連続体構造解析手法との比較検討に関する研究

摘要

建築物の構造解析を行う手法としては，構造要素や連続体要素などの有限要素法（FEM)が使われている.FEM により終局挙動などの大変形を求めることは可能であるが，計算の収束性が悪いなどの難点がある.また，衝突物の貫通やコンクリートの裏面剥離など破壊を伴う現象の挙動を正確に追う手段が確立されてはいないため，構造解析と破壊現象を総合的に評価できる解析手法の検討が必要である.大変形やそれに伴う破壊現象を扱うことに長けた解析手法の一つとして，粒子モデルを用いた破壊解析が挙げられる.本稿では，その中でも比較的新しいPeridynamics 理論を元とした破壊解析ソフトウェアPeridigmを用いる.Peridynamicsでは影響範囲距離で相互作用をもたらす粒子の運動により，連続体を表現するため大変形や破壊現象を扱うことが可能となる.しかし，FEMの様に荷重に対する部材の変形などの静的な事象について，十分に検討が行われていない.そのため，Peridigmによる準静的解析を行い，FEMでの解析結果と比較することで，粒子モデルを用いた構造解析の有意性を検討する.