エッジコンピューティングの現在とこれから：実世界と情報世界の融合が進む，情報通信第三の時代に向けて

摘要

電話に代表される「人と人」をつなげるコミュニケーション手段から，インターネットの登場と普及によって「人と情報」をつなげる情報流通の手段へと進化した情報通信ネットワークは，今，実世界のあらゆるモノの情報をもとりこむことで，実世界（リアル）と情報世界（サイバー）を結びつけるCPS（Cyber-Physical Systems）を構成し，膨大な情報をもって社会を駆動する第三の発展にむけて，更なる進化を遂げつつある．本発表では，CPS を構築する技術の1 つとして期待されているエッジコンピューティングに着目し，これまでの取り組みと今後の期待?展望について述べる．エッジコンピューティングでは，データセンタに集中配備した計算資源(クラウド）に加えて，ネットワークの縁（エッジ）やデバイス?ユーザの周縁にある計算資源も活用してアプリケーションの処理を分散する．情報処理の地域分散，すなわち情報の地産地消を進めることによって，クラウドへの通信負荷集中を回避しつつ大量の情報を処理できるだけでなく，通信遅延の低減により高い応答性が求められる実世界駆動への応用も期待されている．本発表では，これまで著者らが取り組hできた，スマートホーム?シティや，製造，交通など，各分野でのエッジコンピューティングの活用例を具体的な事例を挙げながら紹介する．